死と老化をを招く「血糖値スパイク」の克服法
2017/02/15
カテゴリーダイエットコラム
最近「血糖値スパイク」が話題になっています。
昨年10月8日にNHKが報道した「血糖値スパイクが危ない 見えた!糖尿病と心筋梗塞の新対策」を皮切りに先日2月3日にも「シリーズ医療革命 あなたを襲う血糖値スパイク」という番組にも取り上げられました。
「血糖値スパイク」とは、普通に病院などで測定する「空腹時血糖値」は正常でも、食後に急激に血糖値が上昇し、急激に下降する現象のことです。
より正式には「グルコーススパイク」とか「食後高血糖」とも言います。
こうしたことが起こることは、糖尿病の予備軍という意味があります。その後糖尿病にはならなくても急激に動脈硬化が進行して心筋梗塞や脳梗塞、さらにはアルツハイマー症候群などの原因になりうるとして独立した病気として注目されているのです。
そういう状態にある日本人が推測で約1400万人、20代の痩せ型の若い女性でも五人に一人くらいに起こっているとのことです。
なぜ、このことがそれほど健康のリスクになるのでしょうか?
血糖値スパイクが死や病気を招く仕組み
それは、まず、血糖値が急激に上昇や下降するときに、血管内皮細胞で大量の活性酸素が発生して細胞を壊死させてしまうからです。
そして破壊された血管内皮を補修しようとして、免疫細胞の一種マクロファージが、血管内皮に入り込んでアテロームと呼ばれるこぶのようなものを作るのです。
これが動脈硬化を急速に進行させる原因になります。
もう一つは、急激な血糖値の上昇が大量のインスリンの放出を招く点です。
私たちの脳細胞からは、アミロイドベータという物質がいつも作られていますが、これはネプリライシンという酵素の働きで分解されます。
この酵素は、インスリン分解酵素としての役目も兼ねていますが、これがインスリンの分解に追われていると、アミロイドベータの分解が追いつかなくなるのです。
その結果、アミロイドベータが脳細胞内に蓄積されて脳細胞を破壊し、これがアルツハイマー症候群の原因になるのです。
番組では、対策として3つのことを結論づけていました。
1.食べる順番に気をつける
野菜、肉や魚、ご飯やパンという順番で食べることで、急激な血糖値の上昇が抑えられる
2.朝ごはん抜きを避ける
朝食を食べないで昼食を食べると血糖値スパイクが起きやすい、さらに朝食、昼食抜きで夕食を食べるとさらに血糖値スパイクが激しく起こりやすい
3.食後に運動をする
食後に運動をすると血糖が運動で消費されるので血糖スパイクを防ぐことができる
これらは、確かにその通りだと思います。
けれども、そもそもなぜ現代人にそんなに血糖値スパイクが起きているのか、根本原因と抜本的な対策に触れてはいなかった点が残念です。
「血糖値スパイク」の根本的な原因は何か?
番組の中では、被験者たちにブドウ糖溶液を飲ませて、その後の血糖値を測定していました。
ここで注目したい点は、同じ量のブドウ糖溶液を飲ませたのに、異常な高血糖を示す人とそうでない人がいたことです。
異常な高血糖を示した理由は二つ考えられます。
1.インスリンが効きにくい体になっている
2.インスリンが作りにくい体になっている
これらのうち、可能性が高いのは、1の「インスリンが効きにくい体になっている」というものです。
こういう状態を「インスリン抵抗性」と言います。
そうなる理由は、血糖値を急激に引き上げるような食習慣を長く続けたことです。
また、番組ではブドウ糖溶液を飲ませていましたが、これと大差ないものが巷で大量に売られていることにも注目しましょう。
多くの清涼飲料の成分表示に「ブドウ糖液糖」と書かれているのを見たことはありませんか?
血糖値を急激に引き上げる要因はいたるところにあります。
清涼飲料や甘いお菓子は言うに及ばずですが、野菜の少ない食事、炭水化物だらけの食事、白いパンや白いご飯や白い麺類自体が血糖値を急激に引き上げるのです。
ですから、普通に外食やコンビニ弁当を食べていれば血糖値を急激に引き上げる可能性が高いのです。
また、「血糖値スパイク」というのは、急激に血糖値が上昇した後、大量のインスリンが分泌されます。
すると、今度は急激な血糖値の低下が起こり、今度は低血糖状態が起こるのです。
人は低血糖状態では、イライラして攻撃的になったり、集中できなかったり、被害者意識にはまりやすくなったり、うつ状態になったりします。
そして、よりによってまた甘いものが食べたくなるのです。
これは一種の中毒状態と言って良いものです。
そういう状態から抜け出そうとするなら、体質そのものを改善する必要があります。
「血糖値スパイク」の根本的な解決法は何か?
インスリンが効きにくいというのは、細胞でインスリンを受け取るレセプターの数が減ったり、感度が鈍くなってしまっているのです。
インスリンが控えめな状態を続ければいいのですが、かと言って、炭水化物抜きダイエットは、危険です。精神的なエネルギーが低下したり、骨や筋肉が弱ってゆく場合もあるのです。
そこでお勧めなのは、次の二つの組み合わせです。
1.低GI食
GI(グリセミック・インデックス)とは、血糖値を引き上げる度合いを、ブドウ糖そのものを100とした場合の数値指標です。
この数値は、野菜や豆類が低いですが、精製された穀物は非常に高いです。
同じ穀物でも未精製のものは低くなります。
例えば、白米は約81ですが、玄米は約55、五穀米も55、麦は65です。
パンで言えばフランスパン91、食パン91ですが、全粒パンは50です。
パスタの場合は、白いパスタで65、全粒パスタで50です。
うどんは、85ですが、日本蕎麦は、55です。
できるだけGIの低い主食とたくさんの野菜、豆類を組み合わせた方が良いのです。
2.定期的な酵素断食
酵素断食は、苦痛なく、安全に断食効果を得る方法としてお勧めです。
脳、神経系が必要とする程度の炭水化物を補給ししかも血糖値を安定させてくれるのです。
その間にインスリンレセプターも回復させてくれます。
完全な朝食抜きは良くないですが、酵素飲料と味噌汁などの組み合わせでの補給は、血糖値を安定させる上でも効果的です。
また、鈍ってしまった味覚を回復させることで、自ずと野菜が好きになり、極端に甘いものを欲しく無くなる効果もあります。
これら二つこそが、根本解決の方法になるのです。
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