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ストレスはどのように人を老けさせるのか

 老化にストレスが深く関わっている事は、私たちの経験に照らしても,納得が行く事だと思います。ひどいストレスに見舞われたあと、急に白髪が増えたり、しわが深くなったりすることがあります。
 ストレスが、加わると、自律神経のうち、交感神経が優位になります。交感神経が優位になると、血圧が上昇し、脳や筋肉、呼吸器系などに酸素や栄養が優先的に供給され、消化や排泄、解毒、生殖などの働きは後回しにされます。
 逆にリラックスし、副交感神経が優位になると、血圧が低下し、消化や排泄、解毒、生殖などの働きのために栄養や酸素が供給されます。
 人間には、どちらも必要な状態ですが、交感神経優位に偏った状態が続く事で、ダメージが累積します。
 ストレスが持続すると、副腎皮質から糖質コルチコイド(コルチゾール)というホルモンが多く分泌されます。このホルモンは、代謝を上げ、血糖値を上昇させ、免疫系の働きを抑制する働きがあります。
 このホルモンが、適度に分泌されている状態は好ましいのですが、過剰な状態が慢性化しやすいのが問題です。ひとたび、このホルモンの過剰な状態が持続すると、細胞レベルで、このホルモンを受け取るレセプターの数や感度を減少させるということが起こります。 このような現象をダウンレギュレーションといいます。
 ストレスと戦い続けなければならないとなると、副腎皮質は、もっと多くのコルチゾールを生産するようになります。すると、さらにダウンレギュレーションが起こります。つまり悪循環です。
 コルチゾールが高いレベルが続くと、それは、情動と記憶を司る大脳辺縁系にダメージを与え始めます。それは大脳辺縁系のニューロン(神経細胞)の死さえもたらし、その機能を低下させます。その結果が、うつ病であるといわれています。ストレスとうつ病の関係については、「抑うつからの開放・心の自由をとりもどすために」を参考にしてください。
 たとえうつ病にならなくとも、コルチゾールは、免疫系の病原体やがんと闘う働きを抑制します。また、コルチゾールを生産するためには、大量のビタミンCを消費してしまいます。また、コルチゾールが高いレベルにあると成長ホルモンの分泌は抑制されます。成長ホルモンの分泌が抑制されるという事は、細胞分裂が遅れ古い細胞が新しい細胞に入れ替わりにくくなるということです。このこと自体、老化を促進する大きな要因になります。
  さらに最近注目されているのが、脳がつくりだす神経ペプチドと呼ばれるものです。たくさんの種類がありますが、コルチゾールのレベルが高いとき、精神的な苦痛を感じたときに放出されるサブスタンスPという物質が、細胞レベルで炎症を引き起こし、アレルギー反応の引き金にもなるという事で話題になっています。これも老化の促進要因にもなります。
 ただ、ストレスがあること事態が悪いわけではありません。ストレスがあっても、そこにやりがい間や達成感、感動や喜びが伴い、脳内快楽物質のドーパミンも放出されていると、それはコルチゾールと拮抗関係がありますので、コルチゾールは、過剰になりにくく、レベルが下がりやすいといいます。コルチゾールのレベルが下がれば、レセプターの機能も回復します。
 つまり、単なる義務感や強迫観念、苦痛を感じながらストレスを受けている状態のストレスは、コルチゾールの慢性的な過剰分泌につながりやすいのです。
 こういう状態は、うつ病のほか、長い間には癌なども患いやすく、老化も促進されてしまいます。

老化を促進するグリケーションとは

 GI(グリセミック・インデックス)とは、その食品を食べたあと、どれくらい急速に血糖値を引き上げるかという指標数値で、ブドウ糖そのものを摂取した場合を100として計算します。砂糖は、究極の高GI食品ですが、精製した米、精製した小麦粉なども高GI食品です。典型的には、精製した穀物に加工食品、それに清涼飲料類の組み合わせは、非常にGIの高い食事になります。まさしくファーストフードやジャンクフードにその典型を見ます。
 急激な血糖値の上昇が起こると、急激で過剰なインスリンの分泌が引き起こされます。すると、血糖値の急激な降下が起こり、時間が経過すると、今度は逆に低血糖状態が起こります。すると、また甘いものに代表される高GI食品が欲しくなるのです。
こういうことを繰り返しているうちに、身体の細胞レベルで、インスリンに対するダウンレギュレーションが起こります。すると身体は、もっとたくさんのインスリンを作るようになります。これも悪循環が起こります。
 そして、インスリンを分泌しても、血糖値を正常なレベルまで下げる事ができなくなったときに、糖尿病が発病します。たとえ、糖尿病に至らなくても、この急激な血糖値のアップダウンは、多くの問題を起こします。糖尿病と反応性低血糖について詳しく知りたい方は、「U型糖尿病・反応性低血糖は、自然な方法で克服できる」を参照してください。
 血糖値が激しくアップダウンすると、情緒の不安定を招き、いわゆるキレやすい状態を作ります。また、急激に血糖値が上昇して、だぶついた糖分が、たんぱく質と結合するグリケーションという現象が起こります。こうしてできた糖タンパクが、細胞レベルで様々な障害を引き起こします。 特に最終代謝物のAGEは、老化促進物質といわれ、例えば、腎臓のメサンギウム細胞の障害を引き起こして腎機能障害を起こします。また、コラーゲンやエラスチンなど皮膚を構成するたんぱく質の間に、架橋といって、お互いをくっつけてしまって、機能を損なうという事もします。このことにより、皮膚は弾力や透明感を失ってしまうのです。
 今、糖鎖が注目されています。それは、細胞膜表面に並ぶ、糖とたんぱく質のチェーン=糖鎖が、細胞が取り込むべきものとそうでないものを識別したり、ホルモンなど生体信号物質とレセプターを仲介する標識のような働きをしており、多くの疾患で、この糖鎖の異常が関わっている事が分かったからです。
 その大切な糖鎖もグリケーションによって損なわれてしまいます。余計な糖や糖タンパクがくっついてしまうと、正しく機能しなくなるのです。
 また、血液中の過剰な糖がメイラード反応という化学反応を起こす際に、大量の活性酸素を発生させるのです。
 高GI食品を、しかも過剰に摂取することの弊害は、研究が進むほどに、非常に大きいと分かってきたのです。
 砂糖そのものの弊害は認識していても、白いご飯、白いパン、白い麺をたくさん食べる習慣があれば、実は、大量に砂糖を食べているのと大差ないのです。また、ビールや日本酒など醸造酒を大量に飲む習慣もしかりです。具体的な食事の改善法は、「癒しの食卓・スリムアップも若返りも食しだい」を参考にしてください。
→つづき

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