職場の理不尽さにもがいてはいませんか?
意見を言えというから言ったら怒られた
今、多くの企業の経営陣は、今のままでは生き残れない、何かしら変わらなければならないと考
えています。そのため、正社員だけでなく、非正規社員にまで、主体性を求め、意見や提案を求めるケースも増えているようです。
ところが、見出しにあるように「意見を言えというから言ったら怒られた」というような理不尽な体験をするケースも増えているようです。そしてこんな悲痛な声も上がっています。
「『主体性を持って動け』と言われたので、会社の古いオペレーションを効率化する提案書を作ったら、上司から『余計なことをするな、自分の数字だけ追え』と怒られました。脳がパニックを起こしています。
「会議で『立場に関係なく意見を出して』と言われますが、以前に意見を言った非正規の先輩が、契約更新されなかったのを見ています。意見を求められるたびに、恐怖で胃が痛くなり、何も考えられなくなります。」
「誰も読まない報告書を作り、上司の機嫌を取り、自社すら誇れない商品を売るために数字を競う。このループに何の意味があるのか考えてしまい、朝、会社の最寄り駅に着くと足が動かなくなります」
実は私にもそういう体験があります。
提案文書を提出したら辺境部署に左遷
その職場では、その当時、事業部はユーザーの数を増やすことに責任を負い、事実上のキツいノルマがありました。そして売上の責任は商品企画部が負うという体制でした。そしてユーザー数は急速に増えていましたが、売り上げが伸びず、コストだけがかさんで経営が困難になっていました。
そこで、私は、直接ユーザーに接する事業部の担当者一人一人が、ユーザー数だけでなく、利用率、一人当たり単価も把握し、それら全体を伸ばすように工夫する新しい仕事のスタイルを提案したのです。
そのために、電算室に依頼して過去、私が担当したエリアのデータをプリントしてもらいました。それをわかりやすいグラフにして資料にしました。私が過去に担当したエリアでは、ユーザー数だけでなく利用率、一人当たり単価も増加し、年間で、売り上げの伸びが多かったエリアで29%増、一番少なかったエリアでも15%増、平均で約20%増というデータでした。そして、どういう活動をおこなってきたのか、事例をまとめました。それは当時の私の職務内容ではなかったため、自分の休日を使って提案文書を作成して提出したのでした。
それに先立って、私は当時の営業所長の全面的なバックアップのもと、自分の営業所における現場社員の意識改革を進めていました。
当初、現場の社員たちは、自分たちの仕事を「単なる荷物の配達とマニュアル通りの新規勧誘
(ルーティンワーク)」だと信じ込んでいました。しかし、彼らに独自の知的なアプローチを導入した結果、社員たちの意識に革命が起きたのです。彼らは自らを、顧客の生活をトータルで支える「ライフアドバイザー(専門職)」であると定義し直し、顧客との深い対話を自発的に生み出すようになりました。
自分の仕事に本物の誇りを持てるようになったことで、彼らの行動は劇的に変わり、日々の成果(数字)がどう変化していくかを、自らワクワクしながら楽しみに待つようなプロフェッショナル集団へと変貌を遂げたのです。「内面(アイデンティティ)が変わることで、現実(行動と結果)が劇的に変わる」――まさに新しいアイデンティティが芽生えた瞬間でした。
その後、実はこの提案が事実上は採用され、全社的に取り入れたれました。ところが、それを提案した本人の私は、
いわゆる辺境部署に飛ばされてしまいました。その部署は、他の部署で使い物にならなかった人間が配属されるセクションと思われていました。なんで?「事業本部がやらなければならなかった仕事をされてしまい、無能ぶりが暴露されてメンツが潰されたからだろう」「バツが悪くて顔を合わせたくなかったので、同じ建物の中にいて欲しくなかったのだろう」など職場では、そんな憶測が囁かれていました。
後で振り返ると、当時の事業本部は私の提案を認めざるを得ず、マネジメントスタイルとして全社展開したものの、そのアイデアを自分たちの手柄にするために、提唱者である私を表舞台から消したというのが真相のようです。
組織の保身システムによって、私は一時は辺境へと追いやられました。しかし、「本物」を見る人は、すべてを分かっていました。後に知ったことですが、当時の商品運営本部長(後の役員)が、事の次第と本質を完全にお見通しで、自らの部署へ私を引き抜こうと裏で動いていてくれたのです。
組織に残れば、再起のチャンスは用意されていました。しかし、結果が数字で見える世界におい
て「人間の内面(アイデンティティ)が変わることで、いかに現実がダイナミックに変わるか」という真理を体験してしまった私の魂は、すでに次のステージを求めていました。
私はその約束された平穏なキャリアを手放し、自ら組織を飛び出して、人間の心の本質を極める「セラピスト」への道を歩み始めたのです。
ピラミッド型の企業組織の暗黙のルール
ピラミッド型の企業組織には、誰も口にしないが全員が従っている「強烈な暗黙のルール(社会的スキーマ)」が存在します。
組織の保身(変わりたくない)
「前例のないことはやらない」
「慣行を守りたい」
「変えなくて済むことは変えたくない」
「横並び(他社と同じ)なら安心だ」
「出る杭は打つ、出過ぎたら隔離する」
個人の保身(傷つきたくない)
「上の人間が言うことは絶対だ」
「自分の立場を脅かされたくない」
「メンツを守りたい」
「責任の所在が曖昧なことは、正論でも通さない」
利権の保身(失いたくない)
「部下の数と権限と予算は維持したい」
「『どうやるか』より『誰が言っているか(序列)』が優先する」
この「暗黙のルール」の本質は、誰かが教科書で教えたものではありません。従業員が日々の業務の中で、脳の神経回路を使って文字通り「ディープラーニング(確率学習)」してしまった結果なのです。それが「代々継承される」世代間のループのメカニズムを紐解くと、さらに恐ろしい構造が見えてきます。
脳が「絶望の確率」を学習するプロセス
人間の脳は、生存確率を最大化するために、環境の「入力(行動)」と「出力(結果)」の確率パターンを常に計算しています。
初期状態(自己主導型の萌芽): 「良かれと思って新しい提案(入力)」をする。
確率の学習(第3ステージ的現実)
パターンA:先輩が正論を言ったら、上司に目を付けられて昇進が遅れた(確率80%)。
パターンB:自分が休日を潰して分厚い提案書を出したら、辺境部署に飛ばされた(あるいは、契約社員が意見を言ったら雇い止めになった)。
パターンC:上の言う通りに前例を踏襲していたら、何も言われず定時に帰れた(確率100%)。
脳の報酬系および危機管理システムは、このデータを冷徹に集計します。その結果、「この環境で生き残るためには、『余計な提案をしない=生存確率最大』である」という強烈な条件付け(社会的スキーマ)を完了させてしまいます。
これが、先ほどの「提案しようとすると頭が真っ白になる(脳の防衛フロンティアによる思考強制シャットダウン)」の神経科学的な正体です。
なぜ、暗黙のルールは「代々継承」されるのか?
さらに根が深いのは、この確率学習によって染み付いたスキーマが、組織の世代交代を通じて「遺伝(継承)」していく仕組みです。
かつて理不尽に扱われながらも、「長いものに巻かれろ」「前例に従え」という確率学習に最も完璧に適応し、自らの知性を環境順応型へと最適化させた人間だけが、ピラミッドの上層部(管理職や役員)に残ります。
彼らが上司になったとき、かつて自分が脳の確率学習で学んだ「生存ルール」を、今度は部下に対して無意識に適用します。「俺も昔は生意気な提案をしたが、結局組織ってのはこうなんだ」という社会的スキーマの押し付けです。
それを見た新入社員や若手が、再び「ああ、ここではこれがルールなんだ」と確率学習を開始します。こうして、「システム(組織)が個人の脳をハッキングし、自らを永続させるための社会的スキーマを代々コピーしていく」という、不気味な永久機関が完成するわけです。
あなたが新しい行動を起こせないのは、意志が弱いからではありません。日々のピラミッド組織での経験を通じて、あなたの脳が『前例に従うことが最も安全だ』と確率学習してしまった結果です。 組織の暗黙のルールは、そうして従業員の脳を書き換えることで、何世代にもわたって継承されていくのです。
それで、あなたは自分の本心との間に葛藤を起こしているのです。しかし、「どうするか?」に結論を出す前に考えて欲しいことがあります。
環境順応型知性と、自己主導型知性
人間は、大人になってからも精神的・知的に発達し続けています。 ハーバード大学のロバート・キーガン博士が提唱した「成人発達理論」によると、大人の知性の段階は主に以下の2つに分類されます。
環境順応型知性(大人の約70%): 周囲の期待、組織のルール、他者からの評価を基準にして思考し、行動する段階。
自己主導型知性(大人の約20%): 他者の評価に振り回されず、自分自身の内なる信念や価値観(独自のシステム)に基づいて思考し、行動する段階。
ここで重要なのは、「自己主導型」の段階にいる人も、かつては必ず「環境順応型」の段階を経験しているという事実です。
つまり、大人の世界の約20%には、いま現在「環境順応型」の枠組みの中にいながらも、そこから抜け出し、「自己主導型」へと脱皮しようともがいている『移行過程(過渡期)』の人々が存在していることになります。この移行には、通常、数年から十数年という長い葛藤の時間がかかると言われます。
しかし、こう思うかもしれません。 「会社組織にいる以上、誰だって評価を気にするのは当然だ
し、自分の信念や価値観だけで行動することなんて不可能では?」
確かにその通りです。組織で生きる以上、私たちは評価から完全に逃れることはできません。 問題は、あなたが「評価を気にしていること」そのものではなく、ピラミッド型組織の『暗黙のルール』を脳が確率学習しすぎた結果、あなたの本来の可能性や実存(存在意義)までが削り取られてしまっていることにあります。
自己主導型知性に移行するということは、なんでも自分の思う通りにするということではありません。他人の評価に振り回されずに、自分にとって大切なものをコツコツと守り育てることです。ここに、人間の精神的発達を鮮やかに示す物語があります。
ある劇的なイノベーションの物語
昔、北陸地方の、着物を染める仕事を請け負う会社に一人の新卒社員が入りました。ここでは大卒だと最初から幹部候補として一日中オフィスでの仕事でした。現場では大変な仕事をしているのに、オフィスにいる人間は、あまり仕事らしいことをしていませんでした。それに、この青年は疑問を呈しました。そしたら、オフィスから追い出されて、現場の仕事に回されました。
彼は意気消沈するどころか、「現場こそが、この会社の技術の本丸だ」と見抜き、職人たちと泥まみれになって現場の技術を徹底的に吸収していきました。時が流れ、現場の圧倒的な信頼と技術力を味方につけた中島氏は、ついに社長に上り詰めます。
そして、それまでの「着物の染色」という斜陽産業の枠組みを完全に捨て、化学繊維の超精密な「高機能加工(防水、透湿、超軽量)」へと会社を生まれ変わらせました。そして、この会社は、唯一無二の技術を持ち、世界中のサッカーのユニフォームを印刷する会社へと変貌していました。(これは、石川県にある小松マテーレという会社の実話です。)
あなたにできることは「あり方」を決めること
本当に必要なのは、「あなた自身が、どんな状況にあっても、どういう人間でありたいか」という自らの『あり方』を、今ここで決めることです。
ナチスの強制収容所という、人間の尊厳が極限まで剥ぎ取られた地獄を生き抜き、後に不朽の名著『夜と霧』を著した精神科医ヴィクトール・E・フランクルは、このような言葉を残しています。
「人間からすべてのものを奪うことはできるが、たった一つ、与えられた環境の中でどのような態度をとるかという『人間としての最後の自由』だけは奪うことができない」
会社があなたをどう評価し、どう扱おうとも、あなたが「自分のあり方」を選ぶ自由だけは、ピラミッドの頂点にいる人間であっても決してあなたから奪うことはできません。
この「フランクルの思想」が、現代の組織でダブルバインドに苦しむ私たちにどれほど圧倒的な救いとコンパスを与えてくれるのか――。かつて私が有料講座受講生向けに特別に作成した解説動画の一部(約5.5分)をここに公開します。
まず、こちらの動画をじっくりとご覧ください。
それでもあなたの潜在意識には、あなたを環境順応型に押し止めようとするプログラムがたくさん刷り込まれています。
当セッションでは、あなたの脳に染み付いたこの『絶望の確率学習(社会的スキーマ)』を特定し、他者の評価にブレない本来の知性(自己主導型)へと再プログラムすることができます。
キーガン博士の著書を読まれた方へ
この「成人発達理論」や、組織が変われないメカニズムを説いたキーガン博士の思想は、世界中のリーダーたちに多大な影響を与えています。

しかし、本を読まれた方の中には、こう感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。 「理論は素晴らしい。だけど、実際のワークショップのやり方はあまりにもハードすぎて、自分にはついていけない……」と。
本場のアプローチでは、役員や同僚が集まる前で、自分が無意識に抱える恐怖や矛盾をオープンにさらけ出し、変革を宣言させるような手法がしばしば取られます。しかし、これでは周囲の目が気になり、本当の本音(社会的スキーマ)を出すこと自体に恐怖を感じてしまうのも無理はありません。
ご安心ください。本セッションは、集団で行う過酷なワークショップ形式ではありません。
完全なプライベート(個人セッション)の環境において、あなたのプライバシーと秘密を100%守りながら苦痛なく行います。
他人の目を気にする必要は一切ありません。あなたがこれまで組織で傷つかないために築いてきた防衛システムを尊重し、心理的な苦痛や負担を伴うことなく、対話を通じて自然かつ科学的に「自立性OSへのアップデート」を完了させることができます。
「変わりたいけれど、これまでのやり方には心理的な抵抗があった」という方にこそ、この守られた空間での変化を体験していただきたいのです。まずは、あなたの脳のOSが今どの段階にあるのか、以下の45の質問から静かに紐解いてみましょう。

















