情緒的剥奪スキーマ（あきらめた孤独なチャイルド）の影響
「情緒的剥奪（じょうちょてきはくだつ）スキーマ」は、幼い頃に「愛されたい」「理解されたい」「守ってもらいたい」という基本的な心の欲求が満たされなかった経験から形成される、根深い心のパターンです 。 インナーチャイルドとしての名称は「あきらめた孤独なチャイルド」と名づけました。
親への期待を次第にあきらめ、自分のことは自分でやるようになるため、一見好ましい傾向に見えますが、心の中では満たされなさを抱えています。また自分の欲求を抑圧し、自己犠牲的にな
る場合もあります。
このスキーマを持つ人は、心の中で「自分は誰からも愛されず、理解もされない存在だ」と感じています 。そのため、大人になってからも、親しい関係を築くことに困難を感じたり、自分の感情やニーズを表現することが難しい場合があります。
不信／虐待スキーマや見捨てられ／不安定スキーマのように激しい感情的な反応を引き起こさないために、気がつきにくい、見つけにくい傾向がありますが、実際には最も広く存在するスキーマと言われます。
情緒的剥奪スキーマの思考や行動への影響
このスキーマは、以下のような形で日々の生活に影響を及ぼすことがあります。
無意識のうちに自分を大事に思ってくれる人を遠ざけ、感情的に冷たい人を選んでしまうということがあります。無意識のうちに、子どもの頃に経験したような、感情的に距離のある相手をパートナーや友人に選んでしまうのです 。
本当は助けてほしい、理解してほしいと思っていても、その欲求を相手に伝えたり、求めたりすることができなくなります 。
愛されないと感じる心の穴を埋めるために、「完璧な自分」であろうと過度に努力ししたり、自己犠牲的に奉仕したり、人の期待に応えようとする場合があります。
「どうせ自分は愛されない」という心の前提があるため、親密な関係を築くことを避けたり、近づいてきた人を突き放したり、時には自分を気にかけてくれる人を批判したりすることもあります 。
また、どうせ理解や共感が得られないだろうという前提があるために、意見を言ったり、情報を発信することにブレーキがかかります。起業した際に集客行動ができない隠された理由になっている場合も多いものです。
愛着理論で言うところの「回避型」または「愛着回避型」というのは実はこのスキーマがベースになっています。
このスキーマを克服することで得られる変化
このスキーマを癒すことで、以下のような変化が期待できます。
感情やニーズの表現：自分の感情やニーズを自分で認め、他者に対して率直に表現できるようになります 。 
自己肯定感の向上：自分は「愛される価値のある存在だ」と心から感じられるようになり、自信を持てるようになります 。
健全な人間関係の構築：他人に過度に依存したり、逆に避けてしまったりするパターンから抜け出し、より健全で安定した人間関係を築くことができるようになります 。
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なお、スキーマという言葉は、一般的に馴染みがなかったためにインナーチャイルドという言葉をあてがってきましたが、同じ意味で用いています。
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