人間関係が苦手・作れない根本原因と解決法
人間関係の作り方は幼児期に決まっている?
あなたは人間関係がうまく作れない、人間関係が苦手、人間関係がおっくう、人間関係が面倒く
さいと感じていますか? 実は、人口の10%〜20%程度の人がこうした問題を抱えています。
自分が愛されたり、大切にされたり、理解されたりしないだろうという予測感を持ち、無意識に人との親密な関係を避けてしまうのです。
人間にとって、愛されたり、大切にされたり、理解されたいという欲求は自然なものです。しかし、幼少期・生い立ち過程でそれらが満たされない体験を繰り返しているうちに、いつしかそういう欲求自体を次第に抑圧するようになってしまうのです。
アタッチメント(愛着)理論によると、人間は、すでに1歳くらいまでの間に愛着パターンというものが形成されそれがその後の人間関係のあり方に大きな影響を与えるといいます。。
愛着パターンの概念は、もとは英国の心理学者ジョン・ボウルビィが提唱したものです。ジョン・ボウルビィといえば、セキュアベースという概念を唱えた人物でもあります。
愛着とは、主に乳幼児期の子供と、母親をはじめとする養育者との間で築かれる、心理的な結びつきのことで専門用語ではアタッチメントとも言います。
子供が泣くことで様々な要求をするのに対して、養育者がその要求を汲み取って対処したり、触れ合ったり、声がけなどでコミュニケーションをとります。
こうしたことの積み重ねの中で、こどもは次第に特定の養育者を認識し、特別なつながりを感じるようになります。これが愛着形成です。
この愛着こそが子供が健全に成長してゆくために欠かせない土台となります。この愛着には、3つの大きな意義があります。
1つ目には人への基本的信頼感が芽生え発達することです。
2つ目は、自己表現力、コミュニケーション能力の発達を促すこと
3つ目は、自己の存在と安全を確保することです。
愛着形成の過程で生じる問題とは?
しかし、この愛着形成の過程で問題が生じる場合があります。
健全な愛着関係を安定型(B型)と言いますが、それ以外に回避型(A型)、アンビバレント型(C型)、無秩序型(D型)があるとされます。
子供の要求に対して、養育者が適切な対応を積み重ねた場合には安定型となります。
子供の要求に対して養育者の反応が鈍く、放置されることが多い場合に回避型となります。だんだん親に対して期待感を持たなくなるため、親の姿が見えなくなっても、再び現れてもほとんど反応しなくなります。
幼少期の時に回避型だった人がその後成長して大人になるとおよそ7割くらいが愛着軽視型になると言われます。愛着軽視型と言うのはまさしく、自分が愛されたり、大切にされたり、理解されたりすることを他者に期待しないという特徴があります。
このような人は、右脳と線条体という器官の働きを抑制していると言われます。線条体というのは、社会的報酬に反応して意欲や喜びを作り出す器官です。つまり喜びや意欲の感覚も希薄になり、情緒全般が抑制されてしまうということです。
ただ、アタッチメント理論というのは、幼少期に生じる愛着のみに着目した理論であって、それ以降の生い立ち過程も含めて考える必要があるでしょう。
アタッチメント理論で言うところの幼少期に回避型であったことと、大人になって愛着軽視型であることの一致は7割です。
逆に言えば、少なくとも3割は別な要因もあると言うことです。実は別な心理学の理論で、愛着軽視型によく似た概念があります。それがスキーマ療法で言うところの「情緒的剥奪スキーマ」です。
「情緒的剥奪スキーマ」とは何か?
ジェフェリー・ヤング博士のスキーマ療法の原典では、情緒的剥奪スキーマとは、他者に自分を大事にしてもらったり守ってもらったり理解してもらったりした経験が乏しく、はなからそれらを期待しないという特徴のある思考の枠組みを指します。
そして、情緒的剥奪スキーマは、最もよく見られるスキーマの一つとして取り上げられています。しかし私は、このスキーマは構造や成り立ちが他のスキーマとは異なるので同列において論じることはできないと考え、別枠で扱ってきました。
そして、愛着に関する研究の中で取り上げられている幼少期の回避型、大人の愛着軽視型というのが、この情緒的剥奪スキーマに非常に重なっていることに気がつきました。さらにその影響の甚大さと重要性を認識するに至りました。
ヤング博士は、その著「スキーマ療法」の中で次のように述べています。
「クライアントは、他者から情緒的な温かさや愛情を十分に与えられたことがなく、深い感情を示してもらったこともない。クライアントは、自分に手を差し伸べ、自分を支え、自分の道しるべになってくれる人は、この世に誰一人いないと信じている。彼/彼女らは、自分は誰からも理解されておらず、孤独で空虚だと感じている。」
そして、情緒的剥奪には次のようなタイプがあるとしています。
A・養育の剥奪 自分を支えてくれたり、愛してくれたり、身体的に世話をしてくれたりする人は誰もいないと信じている
B・共感の剥奪 自分の話を聞いてくれたり、自分のことを理解してくれたりする人は誰もいないと信じている
C・保護の剥奪 自分のことを守り、導いてくれる人は誰もいないと信じている
もし情緒的剥奪スキーマだけが単独である場合、その人は、感情や表情が乏しいように見え、人と親密になろうとせず、自分のことは何でも自分でやろうとし、人間関係は希薄でも生きる上でさほど支障がないように見えます。ただし、喜びの感覚が希薄で、人生が空虚で、味気ないと感じるでしょう。
しかし実は、過剰警戒症候群という問題や他のスキーマと混在した時、問題を重症化させ、修復を難しくさせることがわかってきたのです。
もし不信/虐待スキーマと情緒的剥奪スキーマが並存したらどうなるでしょうか? 自分は攻撃されるだろうという予測感に加え、もしそうなっても、誰にも守ってもらえない、ケアしてもらえない、誰も味方はいないと信じているわけです。すると、極力攻撃を受けるリスクを避けることになります。また右脳が抑制されているとなると、共感能力によってではなく、計算高さを使って自分の身を守ることになるでしょう。なんとも窮屈な状態になることが予測できるのです。
このように、情緒的剥奪スキーマは、一見地味なスキーマですが、実は他の問題と並存することで問題を深刻化させ、脳の機能自体にまで影響する非常に根深い問題です。
しかし、この問題は改善、解消できる問題です。ただし、いわゆる書き換えテクニックだけでなく、右脳、エピソード記憶などに働きかけるワークも必要ですし、セルフワークもお勧めします。
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情緒的剥奪スキーマ無料診断
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1・該当しない
2・ほとんど該当しない
3・時々、所々該当する
4・かなり該当する点が多い
5・非常に該当する
の5段階でチェックをしてください。