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心が突然壊れる時・突然の落ち込み、無気力、イライラ、絶望感、の根本解決

 

この数年、急速にうつにかかる人が増えています。特に、40代と50代、特に女性に多くみられます。

 

うつと診断されてないくても、気分の落ち込み、無力感、集中力の低下、眠れない、逆に起きられない、食欲の減退、逆に過食、誰にも会いたくなくなる、些細なことでイライラする、不安感、焦燥感、恐怖感、悲しみや虚しさ、生きる意味を見失うなどの状態に陥る人はもっと幅広い裾野を成しているはずです。このようなことが慢性化しているとしたら、それはいつ「うつ」に移行してもおかしくない前段状態である可能性があります。

 

一般的にいわゆるAC(アダルトチルドレン=機能不全家庭で育った人)、虐待やネグレクトによるトラウマを持っている人が、うつになりやすいことは知られています。(これらに該当する方は、こちらのページをどうぞ)

 

しかし、特にACに該当するわけではない、虐待やネグレクトによるトラウマなどにも思い当たらない。それでも突然心が壊れることがあり得る例として一つのストーリーを紹介します。

 

40代女性、厳しいが愛情深い両親に育てられた長女、両親とも女性もチャンスがあれば社会で活躍するべきだという健全な価値観の元に育てられた。学生時代は、いい成績を取っても、あまり褒められず、慢心せずにもっと上を目指しなさいと言われ、ちょっとしたミスも厳しく指摘された。スキーマとしては「私の成果は否定される」「私の頑張りは無視される」といったもの。このため並大抵の努力では評価されないと考え、このため自分にも厳しく、人一倍努力する傾向が功を奏し、会社の中でも高く評価されていました。

会社である商品開発プロジェクトのチーダーを任され、子育てとの両立に苦心しながらも、主婦や母親の視点も活かして心血を注いだ。ところが、社会情勢の変化などを理由に会社はこのプロジェクトを突然打ち切ってチームを解散させてしまった。経営側としては企業である以上、経営判断でやむを得ない場合があるのは当然で、企業人であれば覚悟があって然

るべきという考えもあり、十分な説明やフォローがなかった。それを本人は、この会社では自分がどんなに頑張っても認められない、存在価値を否定されたように感じて、ひどく落ち込み、意欲を喪失し、その後、心身不安定状態に陥り、会社側は負担を軽減する意図で他の部署に配転させたのだが、抑うつ状態は悪化の一途を辿って退職してしまった。

 

実は、「うつ」というのは、「心が弱いからなる」のではなく、「単なる心の問題」でもありません。そして、誰でも陥る可能性があるものです。一般的に、仕事の負担を軽減、または休職し、精神科や心療内科を受診し、投薬を受けながら回復を待つという対処がなされています。しかし、それで回復せずに長期にわたる場合や、人生の多くのものを失ってしまう場合もあります。

かえって、それまでの人生は比較的順調だった人の方が、「転落した感じ」があり、挫折感、自尊心や自己肯定感の崩壊が深刻になる場合があるのです。

 

実は「うつ」やその前段状態に陥ることは、心の深いレベルに潜んでいた脆弱性が現れることでもあり、それに向き合って克服することで、逆に人生の飛躍、真の自己に目覚める契機にもなり得ることなのです。

 

近年、脳の働きの詳しい解明が急速に進んだことで、うつの発症メカニズムはかなり解明されてきました。ところが、医師自身の知識や治療方法が更新されていないままであることが多いのです。私自身がネットで調べても、世界中の研究論文ではもう当たり前になっていることが、一般向けのネット記事ではほとんど触れられていません。一般に入手可能な書籍で参考になるのはこちらです。

 

ケンブリッジ大学精神医学科長のエドワード・ブルモア博士は、同著の中で「従来の精神科の治療は、うつ病の原因も、薬の作用機序もわからずに治療をしていたのだから科学ではなかった」という趣旨のショッキングな記述をしています。それでは、最新の知見によるうつ病のメカニズムの概要をできるだけ噛み砕いて説明します。

 

脳といえば、神経の塊というイメージがあるかもしれませんが、神経細胞(ニューロン)の占める割合は、約10%、同じくらいの比率を占める免疫細胞であるミクログリアもほぼ同じ10%を占めています。

 

もし、脳の中に細菌やウイルスなどが侵入すると、ミクログリアは、「戦闘モード」になり炎症性サイトカインを放出しながらこれらと戦います。対象が細菌やウイルスの場合は、それらを撃退してしまえば通常のモードに戻ります。しかし炎症が長引くとうつ症状を引き起こします。新型コロナ感染症でも、脳の炎症を引き起こすことが知られ、うつの発症リスクが2倍に、またすでにうつ病であった患者が悪化するケースが多かったといいます。

 

問題は、細菌やウイルスの侵入がないにもかかわらず、神経細胞(ニューロン)が、SOS信号を放出すると、ミクログリアがこれを外敵の侵入のサインと認識して炎症を引き起こすことで、この場合には実際には撃退する対象が存在しないので、炎症が慢性化して持続することです。それでは、どうして神経細胞(ニューロン)が、外敵の侵入がないのにSOS信号を放出してしまうのでしょうか? 原因の一つが、過去の精神的トラウマの痕跡が刺激されることです。しかし、はっきりした精神的トラウマの自覚がない場合でも同様のことが起こり得るのです。

 

このことを理解するためには、大脳生理学と心理学の両方にまたがる専門知識が必要です。この点が、うつ病の発症メカニズムについてなかなか解明されなかった理由です。近年では、大脳生理学や医学分野と心理学の共同研究も少しづつ進んできました。

 

精神的トラウマの痕跡が残る仕組みは、いわゆる条件反射と同様です。ある体験を脳の比較的原始的なシステムが学習した結果、ある状況、ある事象を自分の生存が脅かされる兆候と認識して、恐怖や不安、逃げるか闘うかという行動を引き起こすプログラムのようなものが作られるのです。このプログラムのようなものを大脳生理学ではエングラム(記憶痕跡)と呼び、認知心理学ではスキーマ(schema、本来は設計図、図式、数式などの意味)といいます。

 

これは本来、人間が厳しい自然界を生き延びるための防衛システム、警告システムとして獲得したもので、一般的な動物より人間はより複雑なシステムを持つに至りました。というのは、実際に生存が脅かされているわけではなくても、何らかの形で存在が脅かされる状況に広く対応するようになっているからです。

 

例えば、相手から非難される、拒絶される、見捨てられる、居場所がなくなる、立つ瀬がなくなる、面子が潰れる、名誉を失う、信頼を失う、といったことは、直接生存を脅かすわけではなくても、存在が危機に晒されると認識されてしまうのです。

 

そして、人間は幼少期、生い立ち過程での様々な経験を通じて、存在が危機に晒される状況を避けるために大小様々な「スキーマ」を形成しながら成長します。特に、胎児期から8歳くらいまでの間に盛んに作られます。非常に多くの種類が存在しますが、分類され、特に代表的な6つのグループがあります。それは欠陥/恥スキーマ、不信/虐待スキーマ、見捨てられ/不安定スキーマ、情緒的剥奪スキーマ、失敗スキーマ、罰スキーマの6つです。

 

これらの中には、フラッシュバックを伴う典型的な強い反応を引き起こすものもあれば、微かな反応や隠れた反応を引き起こすものもあります。いわゆる機能不全家庭で育ち、虐待やネグレクトによるトラウマがあるようなケースの場合、典型的な強い反応を伴うスキーマを多く持っているため、いわゆる「生きづらさ」の問題を抱える場合が多いものです。これに該当する場合は、こちらのページをご覧ください。

 

しかし、健全な家庭で育ち、自覚的なトラウマがない場合でも、ひょんなきっかけから精神の崩壊が起こる場合はあります。それは氷が目に見えない亀裂から割れるのにも似ています。すでにそうしたわかりやすい事例の一つをエピソードで紹介しました。こうした挫折体験のほか、育児や介護のストレス、夫婦の不仲、配偶者の不倫、子供の自立、肉親の死などが引き金になる場合もあり、複数の原因が重なる場合もあります。

 

いずれの場合も、何らかの体験、状況にスキーマが強く反応し、あたかも自分の存在が脅かされる状況であるかのような警告反応が生じた結果、脳の中で免疫系が暴走、炎症を起こすことで、うつ症状が引き起こされるのです。

 

それでは、どう対処したらいいでしょうか? もちろん色々な角度からのケアが考えられますが、私が開発した最先端の方法では、過剰、不適切な反応を引き起こす原因にあるスキーマを特定(複数の場合もあります)して消去、新しい反応パターンに置き換えてゆくことです。これは、根治と言っていいと思います。

 

また、いずれにしても子供時代に作られたスキーマというのは、それまでの人生で役に立った側面もあるにせよ、すでに不適切なもの、柔軟な思考を妨げ、特定の思考や感情に縛り付けるものになっている場合がほとんどです。誰でもふとした場面で、大人気ない反応、感情的な反応をしてしまう場合がありますが、それらのほとんどは、このスキーマのなせる技と言っていいものです。

 

ですから、不適切なスキーマをこの際、消去してより柔軟な神経ネットワークを育てて置き換えることで、状況に対する柔軟性、修復力(レジリエンス)を大幅に向上させることができます。そしてそれは一生モノになります。しかもこの方法は過去の辛い体験を思い出す必要もなく、楽に簡単に行え、副作用もありません。

 

すでに多くの方が、うつのほか、パニック障害などの不安障害からあっけなく回復しています。それに加え、今まで苦手だったことや、イライラしたり、強い怒りを覚えていた場面で心穏やかに過ごせるようになったなどの変化を体験しています。

 

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※「インナーチャイルド」は、早期不適応的スキーマを馴染みやすい表現にしたもので、ここでは同じ意味です。

 

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