人間の精神的発達とスキーマ/成功と幸福へのロードマップ
欲求段階説と精神的発達
私は以前から、マズロー・モデルとLibertyWingsプログラムの関係について
説明はしてきました。
LibertyWingsプログラムは、人の精神的発達段階をマズロー・モデルのより上位の欲求段階に引き上げるだろうという予測はしてきたわけです。
しかし、今、予測ではなくて間違いのない確信に変わっています。
マズローは、トラウマなどによって欠乏感が生じると、特定の欲求に対する固執が生じるとしました。
そして、このような固執を神経症的欲求と呼び、健全な欲求とは区別しました。
マズローがいう神経症的欲求は、私の言うスキーマの過剰補償と重なるということはすでに指摘してきたところです。
例えば、「私は無価値だ」というスキーマがあり、過剰補償によってストイックに努力するということがあります。
あるいは、「私はバカにされる」というスキーマがあり、くやしさをバネに「バカにされてたまるか、見返してやる」と努力するケースもあります。
また、「見捨てられる」というスキーマがあり、見捨てられたくないから、一生懸命期待に応えようとするケースもあります。
それぞれにある段階までは成長の役に立つ可能性があります。
しかし、自分で自分の価値を認められないから他者の評価を求める、人を見返してやろうとする、人の期待に応えようとする、どれをとっても基準は他者、他者、他者の評価なのです。
つまり過剰補償である限り、常に他者の評価に振り回されることになるのです。
マズロー・モデルで言えば、過剰補償は承認欲求の肥大化と固執を招くということです。
懲罰系と報酬系をめぐって
また脳の生理的システムの観点から言えば、過剰補償は、懲罰系(不快や危険を逃れようとして動機づける神経情報系統)を使います。
つまり、常時、交感神経や副腎髄質・皮質ホルモンを動員するのです。
特に3大スキーマと脳内神経伝達物質の関係には傾向性があります。
欠陥/恥スキーマの過剰補償は、副腎皮質ホルモン・コルチゾールを動員する傾向があります。
過剰なコルチゾールは、大脳辺縁系を蝕み、うつ病の原因になるほか、長期的には免疫系を抑制する事からがんのリスクを増大させます。
不信/虐待スキーマの過剰補償は、怒りや悔しさの反芻によりアドレナリンを動員する傾向があります。
これは急激な血圧の上昇をくり返すことを意味し、長期的に動脈硬化、循環器系疾患のリスクを高めます。
見捨てられ/不安定スキーマの過剰補償は、根底に不安があるためノルアドレナリンを動員する傾向があります。
不安を沈静化するのはセロトニンですが、セロトニンの原料となるとリプトファンは、血糖値が上昇しインスリンが放出されたときに血液脳関門を通りやすくなるという性質があります。
そのため、見捨てられ/不安定スキーマの過剰補償をする人は、無意識のうちに砂糖その他の精製炭水化物を欲する傾向があります。
これは中期的には、低血糖性うつ、パニック障害、長期的には、糖尿病、アルツハイマー症候群などのリスクを高めます。
本来、懲罰系は、短期的に苦痛や危険から逃れるためのシステムであり、長期的に使い続ける事は、健康を蝕み、老化を促進すると考えられるのです。
そうは言いつつも、多くの人にとって過剰補償は、能力を高め、社会的評価を得る上で非常に役立ってきたことも確かです。
それ故に、スキーマを解消しようとしたときに、強固な「承認ロック」とか「成長ロック」に阻まれ、またスキーマが再生する原因になります。
ここで、スキーマの過剰補償よりも強力な方法を潜在意識が見いださない限り、潜在意識はそれを手放そうとはしないのです。
過剰補償は何で置き換えうるのか?
そこで、過剰補償よりも強力な方法とは何か?
それは最終的には、「魂の欲求」しかないのです。
そこでもし、「魂の抑圧」があるとしたら、過剰補償からの切り替えが出来ないケースが考えられるのです。
だから、2016年度のプログラム更新点の一つは、以下の内容です。
スキーマの過剰補償ー成長ロックが非常に強力な場合、魂の抑圧がないかチェックし、あれば出来るだけ早く解消すること。(例えば、初回でも)
そして、スキーマと、スキーマ・ロック、その前提にあるイニシャル・スキーマをまとめてキャンセルしながら、「魂の欲求と共に成長する」「魂の喜びとともに成長する」をフルダウンロード+×10でダウンロードすること。
これは人生が根底から変わるほど大きな転換を意味しますが、大きいが故にすぐに違いが生じるというより、持続的に長期にわたって変化が持続するというケースが多いと思われます。
魂の欲求、魂の喜びによって動機付けがなされるということは、脳のシステムで言えば報酬系に切り替わるということです。
脳内神経伝達物質で言えばドーパミン主導に切り替わるということです。
さらに言えば、魂の喜びを最大限に実現しようとする生き方こそが、マズローの言うところの自己実現にほかなりません。
魂の欲求はイコール自己実現欲求といっても差し支えありません。
人からの評価や他者との比較での上下優劣を気にして、羞恥心や惨めさ、怒りや悔しさ、不安などによって動機づけられる生き方を卒業して、自分自身を最大限に、最高に生きることにフォーカスする生き方への移行をそれは意味します。
他者に振り回されることのない安定した幸福感
マズローによれば、自己実現欲求の人は、自分の考えをしっかり持ち、他者から振り回されることがないが、自分と異なる価値観、考え方に対しても寛大だという特徴があると言います。
安定した幸福感があり、比較や争いや対立といったものに巻き込まれることのない人生に移行することになります。
また間違いなく精神的にも肉体的にも健康状態が改善することになるでしょう。
今、私は、LibertyWingsプログラムによるセッションを受け続けるとどうなるという長期的ビジョンとして、このような内容をかいつまんで説明しています。
ただ今ある問題が解決に向かうというだけではなく、長期的に精神的発達と全般的な幸福に向かう道のりであるということが示せるのです。
以上のことは、全く初めて公開することではありませんが、これほど確信を持って、さらに詳しく解説したのは初めてだと思います。
LibertyWingsプログラムが普及することで、承認欲求段階から自己実現欲求段階、さらには自己超越欲求段階に到達する人が増加して行くでしょう。
すると集合的無意識に大きなシフトが起こり、政治、経済、権力構造にも変化が起こるでしょう。
人類の歴史的発展段階自体が承認欲求段階にあるため、現状の経済や政治の権力は、承認欲求を異常に肥大化させた自己愛性パーソナリティ障害の傾向に握られやすいのです。
徐々に彼らは没落し、世界のリーダーは、自己超越欲求の域に達した人々にとって代られて行くでしょう。
そして、この地上から、次第に戦争、差別、人権の抑圧、犯罪は消滅して行くことになるでしょう。
人生に行き詰まった時が精神的飛躍の時
「過剰補償で頑張ってきてついに燃え尽き、心を病んだり人生に行き詰まり、LibertyWingsプログラムにサポートを求めた人々は幸いである。
彼らは、承認欲求段階を卒業し、自己実現欲求段階という新しい人生のステージの完全な入り口に立っているからである。」
このことの意味はご理解いただけたと思います。
カウンセラー自身がこのような観点を持ち、クライアントと大局観を共有することはとても重要です。
それでは、回避や服従を中心にして生きてきた人は、より高いステージには行けないのかというテーマがあります。
これについても発展の道筋は示すことが出来るのです。
というのは、マズローモデルをよく観察すると、欠乏している欲求は、それより上位の欲求にフォーカスした方が満たしやすいという法則が見いだせるのです。
まず、生存欲求は、安全欲求を満たすことで満たされます。
安全欲求は所属と愛の欲求(ここで言う『愛』とは個人的な性愛ではなくて、絆、つながりへの欲求と解釈できます)を満たすことで満たされます。
その場合自分の安全を自分一人の力ではなくて、集団の力で守られることになるからです。
ただしここにギャップが生じるケースが多々あります。
親兄弟から虐待されてきた事例では、親兄弟そのものが安全を脅かす、親兄弟でさえ信頼できないようなら、他人はましてや信用できないと考えるケースが多いのです。
そのため、回避=人との関わりそのものを避ける、スキーマの「安全ロック」というパターンが見られます。
この場合、安全への欲求を満たす方法が示されないと、潜在意識はスキーマを手放しません。
「私は攻撃される」とか「私は裏切られる」といった信念を解放できないのです。
そして、「人との関わりを避ける」よりもはるかに良い強力な方法があります。
それは、「信頼関係を育む」「絆を育む」といったプログラムです。
代わりにこれらをダウンロードしても、すぐに人間関係が築いて行けるわけではないかもしれません。
それでも、新しいリソースを育み、現実化して行くことが可能になります。
通常の社会生活も難しい場合、互助組織への参加などから始めるケースもあるでしょう。
こうして、所属と愛の欲求を満たせる状況に近づいて行くのです。
また、所属と愛の欲求が満たされていない、居場所がない、これは独身で失業している状態ではこういう状態になりえます。
この場合、承認欲求にフォーカスする、自分の存在価値を認めてもらうことにフォーカスすることで実現しやすくなるのです。
事実、就職、または起業するためには、自分の価値を認めてもらう必要があるのです。
この場合「承認される」「存在価値が認められる」などのダウンロードが役立つかもしれません。
こうして、欲求の段階を徐々に移行して行くことが可能なのです。
そのプロセスは、ただセッションを受けるだけでなく、本人の行動が非常に重要な意味を持ちます。
だから行動計画を確認し、それを励まし、進捗を確認し、そこで生じた新たな問題に取り組むという粘り強いプロセスも必要です。
ここでポイントは、そのとき満たされていない欲求はそれより上位の欲求にフォーカスした方が満たしやすいという原理があるということです。
これが、あるスキーマをキャンセルしたときに何を代わりにダウンロード、プログラミングするかという事を考える上で重要な意味を持つのです。
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