他人の顔色が行動の基準/過剰忖度症候群とは?
他人の顔色が行動の基準/過剰忖度症候群・サーバントシンドロームとは?
あなたにはこんな傾向はありませんか?
・人の顔色ばかり気にする、
他人からどう見られているかが
やたら気になる
・いつも人の期待に応えようとし
他人の基準で思考し行動する
・特に自分にとって重要な位置にある
人物からの評価がやたら気になる
・批判されるとやたらと落ち込み、
まるで他人の評価で自分の価値が
決まるかのように考える
・特定の思考にはまると切り替えが
効かなくなる
・~でなければならないなどの思考
が強固にある
・自分が本当はどうしたいのか
自分でもわからなくなる
特に、特定の重要他者にフォーカスして、その意向に沿って行動しようとする傾向はありませんか? 私は、MRA、magnetic resonance analyzerという装置を使ってこうした傾向を持ったクライアントの分析を行う中で、多くの人に帯状回という脳の器官の過剰緊張を見つけました。しかも、その異過剰緊張を引き起こしている感情、精神的要素として、強迫観念、プレッシャーが共通して検出されたのです。
近年、「ヤングケアラー」が話題になっていますが、子供時代にヤングケアラーだった人は、大人になってからもここに書かれているようなことで、生きづらさを抱える傾向があるようです。また、恋愛においては「だめんずウォーカー」、仕事においてはダメ上司を支える役割、ブラック企業の餌食、いつまでも親元を離れられずにコントロールされ続ける「母の呪縛」とか「介護要員」と私が呼んでいるパターンに陥りやすいものです。
これは、単なる「傾向」、「性格」ではなく、プログラム、設定であり、解消できる問題であることが分かりました。このような傾向を過剰忖度症候群、またはサーバント・シンドロームと名付けました。サーバントは元々は奴隷の意味ですが、家来、召使、使用人、公務員という意味もあります。
分かりやすく約6分で説明した動画をご覧ください。
「帯状回」とはどういう器官か?
帯状回というのは、大脳辺縁系の各器官を結びつける機能を持った器官で、右脳と左脳のつなぎ目である脳梁を上から包み込むようにアーチ状に存在する器官です。この図では、黄色で表されている部分です。帯状皮質とも呼ばれます。
帯状回全体での機能としては、呼吸器の調節、意思決定、共感、感情による記憶を司るといったことが挙げられます。
中でも、前帯状皮質と呼ばれる領域には、報酬予測、意思決定、行動の評価、社会的認知、その中には、自己評価、他者評価、他者の意図や信念の推測といったことが含まれます。
そして、他者の気持ちに共感する機能や社会的疎外感を感じる機能といったものが含まれ、社会生活上非常に重要な機能が集中しています。
人間の社会的適応の仕組み
近年では、ファンクションMRIという装置の登場により、脳の機能に関する研究は急速に進んで
います。普通のMRIは、臓器や器官の形を映像化できますが、ファンクションMRIはそのような映像にさらに、神経細胞が酸素を取り込む度合いを視覚化して重ねることができます。
つまり、どこの神経細胞が活発に活動しているのかを映像化できるということです。そのため、脳の活動をタイムリーに把握できるのです。だから、ある思考を行うとき、脳のどこを使っているのかが観察できるのです。そのような研究の結果、ミラーニューロンが活発に働く時に帯状回も活発に働く傾向があるということもわかりました。
ミラーニューロンというのは、霊長類などの高等動物の脳内で、自ら行動する時と、他の個体が行動するのを見ている状態の、両方で活動電位を発生させる神経細胞のことです。
他の個体の行動を見て、まるで自身が同じ行動をとっているかのように”鏡”のような反応をすることから名付けられました。
これは、人間でいえば人の振る舞いを見よう見まねで真似る事や、人の身振りや表情から気持ち、感情を推測することに役立っています。
このような、機能がなぜ霊長類に備わったのかということについては、知識の継承に役立ったということと、ボスを頂点にした群の構造を維持するのに役立ったと考えられます。
ミラーニューロンと帯状回が連動するシステムは、おそらく、群の中での自分のポジジョンを自覚し、それにふさわしく行動を調整するという意味で発達したのではないかと考えられるのです。
こうした推論に基づいて、この一連のシステムを私は、エーペス・システムと名付けました。エーペスというのは、「霊長類」という意味です。
帯状回の活動レベルで振る舞いが変わる
帯状回の活動レベルは、変動性があるばかりでなく、傾向的に活動レベルが高い、低いという個人差があることがわかっています。一つの傾向性として、帯状回の活動レベルが高いということは、人に気を遣う傾向、〜ねばならない思考などと関係があるようです。
逆に帯状回の活動レベルが低いということは、時として自由奔放とか気まぐれといった傾向と関係があるようです。しかし、単純に活動レベルが高いからこうだとか、低いからこうだとかいったものではなさそうです。
帯状回の活動レベルが高くて、社会的適応がうまくいっている人もいれば、うまくいっていない人もいます。帯状回の活動レベルが低くて、社会的適応がうまくいっている人もいれば、うまくいっていない人もいます。そこで、活動レベルの高さをシステム・テンション、活動の質をシステム・ステートとして、横軸と縦軸の座標で概念を整理してみました。それが次の図です。
システム・テンションとシステム・ステート
システム・テンションが高いという状態は、他者や周囲の状況に気を使っている状態と言えます
が、ステートが高いという状態は、例えばリーダーの意向や意図を的確に読み取りながら的確に仕事をこなしているというような状態です。
優秀な秘書や、ナンバー2のようなイメージです。ステートが低い状態とは、例えば人の顔色ばかり見て萎縮している、怯えて服従しているというような状態です。
システム・テンションが低いという状態は、周囲に気を遣うより、自分の意思や意図に集中しているか、リラックスしている状態と言えます。
自分の音楽の世界に没頭しながら会場の一体感を作り出すミュージシャンや、情感を込めたスピーチで共感を得ている時の状態などは、システム・テンションは比較的低いながら、システム・ステートとしては、非常に高い状態と言えると思います。
システム・テンションもシステム・ステートも低い状態としては、例えば、原っぱに寝そべっていたり、ハンモックでくつろいでいたりするような状態が想定できます。何れにしても、その人が置かれた状況に最適化するということが大切ということでしょう。
つまり、テンションもステートも、柔軟に変動できることが重要で、人によっては、慢性的に緊張度が高すぎることが問題になるのです。
極端な「スキーマ」(思考の枠組み)を発見
問題は、生い立ちの環境などの影響で、帯状回の緊張レベルが、過剰に高い状態が慢性化してケースが存在することです。
この問題が非常に強くある場合、非常に厳格、または強権的な親の元で育てられたとか、親が病弱だったり、精神的に弱く、気を使わなければならなかったとか、虐待やネグレクトを受けながら育ったということが考えられます。
そして、そのようなケースの場合、特徴的なスキーマ(思考の枠組み)が影響を与えていることがわかっています。このようなスキーマを「忖度スキーマ」または、シフト・イニシャルスキーマと呼んでいます。
よく見られるものとしては、例えば
「私は常に相手の期待通りであるべきだ」
「自分より相手を大切にするべきだ」
「私は常に相手を助けるべきだ」
「私は常に相手の世話をするべきだ」
「私は常に相手を喜ばせるべきだ」
「私は相手の気持ちや感情を常に理解するべきだ」
具より極端なものとしては、
「私は常に相手の機嫌をとるべきだ」
「私は相手にとって完璧であるべきだ」
「私は相手にとって一番であるべきだ」
といった内容のものです。そしてこれらのスキーマが存在する場合、単独では維持できないようで、必ず複数の似た傾向のスキーマを引き連れて存在します。「過剰警戒症候群」に該当する人が、この「過剰忖度症候群」にも該当するケースは珍しくありません。
例えば、今現在、ワンマン社長の片腕として働いているとか、暴君タイプの夫の妻であるとか、そういう状況に置かれていてそれを続けたいのでない限り、「過剰忖度症候群」は解消することができます。
この問題を抱えていると、常に他人に振り回され、自己犠牲的になり、人間関係に疲弊することになりかねません。心当たりのある方は、個人セッションを受けてみましょう。
なお、この問題は、過剰警戒症候群とセットで抱えているケースも多いものです。その場合、特に「生きるのがしんどい」という問題を抱えます。
なお、一般の方向けの過剰忖度症候群・無料診断は終了しました。こちらは、個人セッションを受けられる方の事前分析と、セミナー受講生の実習用です。