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1杯のスープの充実感

  皆さんも一杯のスープに癒された経験がありませんか? 私も、スープの香りが部屋一杯煮たちこめるだけでも、幸せな気分になります。そして、食事を終えた後も幸福感が余韻を残し、なぜか元気が出るのです。スープのない日が続くと枯渇した感じになります。
 ですから、スープのベースになる鶏がらスープは、ときどき大量につくり、タッパーに小分けして冷凍しています
  鶏がらに、セロリの葉、パセリの茎、タマネギ、ニンジン、ローリエを加えると洋風のブイヨンになります。鶏がらを魚のあらやエビの殻などに換えるとフュメになります。タイムを少々入れてもよいでしょう。
  また、鶏がらに、ネギの青いところ、ショウガ、ニンニクのかけらを加えて煮込むと中華ベースに、タマネギ、ニンジン、ダイコンを加えて煮込み、五香粉(ウーシャンフェン)を加えるとヴェトナム風になります。
  だから、うちではネギの青いところやセロリの葉、干からびたしょうがや、細かいニンニクのかけら、それにだしをとった後の昆布などもすべて有効活用しています。こうした手間をかけたスープベースを使うと、スープはもちろん、あらゆる料理が活きてきます。
  実際のところスープがどうしてこんなに幸福感や、充実感、それにエネルギーをもたらしてくれるのか、科学的には説明ができていませんが、そういうことは間違いありません。

簡単な方法でもおいしく

 そこまでの手がかけられない人は、手羽中肉や手羽先をくず野菜とともに圧力鍋で1分程度煮てから圧が下がるまで放置するだけでもおいしいスープがとれます。
 また、豚のスペアリブはいったん湯がいてアクや臭みや余計な油とともに、お湯を捨てたあと、くず野菜とともに圧力鍋で30分ほど煮ると、肉や軟骨ががすっかりやわらかくなり、濃厚な旨みがスープに出てきます。
 牛すね肉も、同様で、30分くらい圧力に欠けてから火を止めて放置してから、他の材料とともにさらに煮て食べるころには肉が柔らかくなっています。
 その際、リードというものを鍋の中に入れておくと、あくや油を吸い取ってくれます。

基本となるスープ

 最も伝統的で、基本になるスープとしては、ゴールデンブロススープと、ミネストローネの名を上げておきます。いずれも豆と野菜を使うので、健康的な食事の典型でもあります。
  ミネストローネは、キドニービーンズ(金時豆)ニンニク、トマト、そのほかの野菜で作るスープで、イタリアの味噌汁のようなものです。地方により、過程によっても千差万別のレシピがあるといいます。
 もうひとつの、ゴールデンブロススープというのはご存じない方が多いと思いますが、もともと「ローレルの台所」という古典的な料理書に載っていたものを料理研究家の丸元淑生氏が、著書でとりあげたものです。
 これは、イエロースプリットビーという豆をニンニク、玉ねぎ、ターメリックとともに煮つぶして、ブレンダーにかけてペーストを作り、これを水かブイヨンで割って、玉ねぎ、セロリ、ニンジン、ジャガイモ、ズッキーニなどのさいの目切りを加えて煮たものです。
 いずれも、豆を一晩水につける
ことから調理が始まり、本格的に作ると手間も時間もかかりますが、本当に心温まるような味わいがあるものです。うちでは、これらのスープを作るときはまとめてたくさん作り、パートナーの実家にもおすそ分けするなどちょっとしたお祭りみたいです。おもてなしにも喜ばれています。

簡単で味わい深いスープ

 けれども古典的なスープは、手間がかかります。そこで、現代人が誰でも簡単に作れる、栄養価の高いスープというものを研究してきました。
  先ほど、簡単なスープベースの作り方を紹介しましたが、手羽中肉を圧力鍋で煮る際に、オリーブオイルで炒めたニンニクと、玉ねぎとセロリ、唐辛子、白ワイン、それにセロリの葉と、玉ねぎの皮、ローリエを一緒に入れて、リードをかぶせて、ふたを閉めて火をつけます。
  玉ねぎの皮からは、見事な黄金色が出てきますが、この色は。ケルセチンというすばらしい働きをするポリフェノールです。皮も捨ててはもったいないのです。
  そして 蒸気が噴出してから1分で火を止めて圧が下がるまで放置します。根菜などを加える場合は、そのあとで加えてちょうどよいやわらかさになるまでにます。
  お勧めは、圧力鍋で煮るときに、レンズマメやアマランサスを一緒に煮ること。これらは、鉄分や亜鉛などのミネラルをものすごく含むのです。しかも、肉とともに調理することで、その吸収率も上がるのです。レンズマメは、何時間も水につけなくても、水洗いしてすぐに加熱調理できます。日本の家庭ではあまり使われていませんが、豆料理を取り入れるのに、最も簡単で栄養価の高いものなのでお勧めです。
 味が、物足りないときは、自然食品店などで無添加のチキンブイヨンの素が売っていますが、こういうものなら使ってもよいと思います。(市販の固形スープは、殆どが塩分と化学調味料の塊です〜お勧めできません)
 あさりも、手軽においしいスープが作れる食材です。ニンニクと玉ねぎ、セロリをオリーブオイルで炒め、白ワインを加え、水と、無添加のチキンベースと、サフランを少し加えて煮立て、玉ねぎとセロリがやわらかくなったら、さいの目に切ったトマトと、アサリを加えます。これにゆでたてのパスタを加えてスープパスタにすることも出来ます。
 そのほか、「太りにくい食事とは?」で
紹介しました豆乳クリームを加えて、生クリームの変わりにすると、ローカロリーなクリームスープが出来ます。
 殆どどんな材料でも、一緒にブレンダーにかければポタージュスープになってしまいます。根菜の煮物の残り物さえです。実際にやってみると特においしかったのは、かぼちゃ、ニンニク、サヤインゲン、かぶ、大根、ゴボウなどでした。
 定番のクラムチャウダーも、豆乳クリームを使って作ることも出来ます。
 冒頭でも述べましたが、スープは、食事の満足感をぐんと高めて過食を防ぎ、ミネラルや抗酸化物質をたっぷりと補給出来る方法です。
  また、ある程度つくりおきもききます。私たち自身、ものすごく忙しくて、食事を作る暇がないときに、前日のスープのつくりおきに助けられて、充実感のある食事が出来たということが度々あります。
 スープは、食事を改善する上で欠かせない、重要な要素だと私たちは考えます。
 習慣の中に取り入れてみてはいかがでしょうか?

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鶏がらと野菜からスープ・ベースを

  鶏がらのスープベース

 
あらゆる料理がおいしく作れ、骨からでる軟骨成分やミネラル、加水分解コラーゲンがとれて、セロリの旗長ネギの青いところ、玉ねぎの皮、しょうがの皮など普段捨てているようなものも有効活用できます。
中華風スープ

     中華風スープ
 スープベースがあれば、洋食も、中華もおいしく出来てしまいます。
 写真は、ヤマブシタケとブロッコリーのスープ。ヤマブシタケは、近年、痴呆やうつの予防や改善に効果があるとして注目されているキノコです。
  

 
ミネストローネ

   ミネストローネ

 「イタリア人の味噌汁」、洋食スープの基本であり、永遠不滅の傑作スープ。本格的にブイヨンから作れば、感動するような味わいが得られます。

 
ゴールデンブロススープ

    ゴールデンブロススープ

 あまり知られていない古典的なスープですが、実際に作って飲んでみると、 驚きと感動があり、幸せな気分になるスープです。

キヌアとレンズマメときのこのスープ
 キヌアとレンズ豆のスープ

 キヌアもレンズ豆も鉄や亜鉛が豊富で簡単に調理できます。鳥手羽中肉と玉ねぎ、セロリ、きのこ類とともにスープにすると手軽でおいしく栄養価が高い。
  
アサリのスープ・サフラン風味
アサリのスープ・サフラン風味

 アサリも鉄分をはじめミネラルが豊富でしかも簡単に調理でき、おいしいスープがとれる優れた食材です。味噌汁だけでなく、洋風のスープでも活躍できます。
豆乳のクラムチャウダー
  豆乳のクラムチャウダー

 豆乳クリームは、このようなクリーム系のスープで、生クリームに置き換えて使うことも出来ます。これで大幅なカロリーカットが出来ますが、満足感は十分に得られます。
 
 
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