肉料理は体に悪いか?
アメリカの栄養学などを学ぶと、肉の多食は、生活習慣病との関連が繰り返し指摘されています。また、動物実験などでも、肉の多食は、攻撃性を高めることが知られています。
私たちも、こうしたことから最初の断食の後、数ヶ月の間は、ほとんど菜食主義の食事をしていました。そうすると、精神的には、静かな安定が得られたのですが、物質的な欲がほとんどなくなり、テンションが上がりにくくなりました。また、肌が乾燥しやすくなり、弾力がなくなるという傾向も見られました。
ちょうど、韓流ブームの影響もあり、韓国人の食事に興味を持ったこともあり、肉食を改めて見直すということになりました。
実際に韓国を訪れても、肥満は少なく、バイタリティに溢れ、肌がきれいで、スタイルがよいというのは本当でした。また、実際に韓国料理を食べている間、体調も良好でした。
アメリカ人の場合には、摂取カロリーのなんと40%が動物性脂肪、20%が砂糖だというデータも見ました。それじゃ病気になるのは当たり前!!
程度の問題であって、韓国人のように、大量の野菜とともに、適量食べることは、むしろ、いいのではないか? と考え直したわけです。
アンチエイジングの世界的権威、フランスのクロード・ショーシャ博士も、動物性食品の適正な摂取量について、フランス人は、多すぎるので少し控える、平均的な日本人の場合には、むしろ少し増やすくらいがちょうどいいと考えているようです。
肉もこうすればヘルシー
肉を食べることの問題のひとつは、飽和脂肪を多く摂取することにつながる点です。これは、LDLコレステロールを増やし動脈硬化に結びつきます。
もうひとつは、難消化性であり、消化し切れなかった蛋白質が腸に送られるとそこで腐敗し、ウェルシュ菌やブドウ球菌を増加させ、腸内で毒素を発生させる点です。これは、アレルギーやがんのリスクに結びつきます。
ですから、動物性の脂肪をできるだけ避け、消化能力の範囲で適量、そして消化しやすい食べ方をするということです。
韓国で焼肉を食べた時、大量の生野菜やキムチやニンニクとともに食べたため、もたれることも、腸内細菌バランスが悪くなることもなかったのは驚きでした。
動物性脂肪を避けるには、最初から動物性脂肪の少ない肉を選ぶか、調理の過程で取り除くことが出来ます。
また、消化を良くするためには、たんぱく質消化酵素を多く含む果物(パパイア、パイナップル、キーウィなど)と食べ合わせるほか、煮込んで柔らかくするということが出来ます。肉に多く含まれるコラーゲンは、最も丈夫な蛋白質のひとつですから消化が難しいのですが、ある程度の時間煮こむと加水分解されるのです。
圧力鍋を使った肉料理
わたしのお気に入りの調理方法のひとつが、沖縄のソーキの調理法です。沖縄では古くから伝統的に豚肉が食べられてきていますが、日本でも最長寿県だったことは有名です。
その沖縄の、代表的な肉料理がソーキ汁です。本場では、豚スペアリブを2回湯通しすることでアクと余分な脂肪を取り除きます。その後、コンブ、黒糖を加えて煮込んでゆきます。
うちでは、1回湯通しした後、圧力鍋(スーパー活力鍋)に、コンブ、ダイコン、黒糖、ネギの青いところを加え、「リード」という商品名の油と、あくを吸い取るペーパーを拡げて、約30分煮ます。 後は、醤油やコーレグス(島トウガラシ)で味を調えます。
この、組み合わせで、本当にたまらないいい味と香りが出るんです。それで、ソーキ汁でもいいですし、それに沖縄そばの麺を加え、アーサー(島のり)やアオサノリでも乗っければ、沖縄風そばになります。
ラーメンにする場合には、ダイコンの代わりに、しょうがととニンニクを使います。
こういう調理法ですと、肉はうんと柔らかくなり、おいしいスープが同時につくれ、余分な脂肪は除くことができ、骨や軟骨からもコラーゲンや、ミネラル、それにムコ多糖類と呼ばれる、保湿力や関節の滑らかさを保つ貴重な栄養素もしっかりとることが出来ます。
同様な発想から、手羽先、手羽中もよく使う食材です。最も簡単なのは、手羽先を茹でて、スープが白く濁りはじめたところで、キャベツをちぎって加え、軽く醤油とラー油で味付けするという調理法は、簡単、単純なのに、実際に味わって、あまりの美味しさに驚くこと請け合いです。
ひき肉を使った料理
ひき肉を使った料理は、食べやすく、最初から多くの野菜とともに食べることが前提になっています。その中には、ハンバーグや、餃子といった人気メニューも含まれます。
うちの、ご馳走料理では、煮込みハンバーグがあります。ハンバーグの種は、普通の内容です。タマネギの微塵をオリーブオイルで炒め、冷ましたところに、パン粉を混ぜ、ひき肉に塩、胡椒をして、ナツメグを加え、よくこね、卵を加えてさらにこね、これをちぎって丸めて、小判型に延ばしてフライパンで焼きます。
ここからですが、これらを圧力鍋に入れ、トマトピューレと赤ワイン、(あれば)ブイヨンを加え、マッシュルームを加え、煮込みます。
こうすると、さっぱりしたハンバーグと、
旨みの濃いソースが出来ます。このソースを付け合せの野菜や、フィトチーネ(太いパスタ)やマカロニなどにも絡めていただきます。このソースのうまさは、食べてみないと分かりません。
何しろ、赤ワインのポリフェノールと、トマトのリコペンという最も強力な抗酸化栄養素が濃縮されていますから健康にもいいわけです。
これは、あくまで趣味の領域ですが、私は手打ちの水餃子が好物です。こねたドウを100回も台に打ち付けて鍛え、しばらく冷蔵庫に寝かせて、麺棒で薄く延ばして、コップで型抜きして皮を作ります。これに具を詰めて、茹でるのですが、さっぱりして、もっちりして、焼き餃子とは違った美味しさがあります。
ロシアにも伝統の餃子があり、ペリメニと呼ばれます。具は、玉ネギの微塵と、ひき肉、レシピによっては、砕いた胡桃が入る場合もあるようです。うちでは、キャベツとマッシュルームを微塵にして加えています。
ボルシチとペリメニ(とくればパンはライ麦パン)という組み合わせは、うちでは冬場の最高のもてなし料理です。何しろ手間隙かかりますから・・・
ロシアでは、生地をお父さんが作り、具をお母さんが作り、具を皮で包む作業を家族みんなでやり、友人や近所の人も誘って、一緒に食べる習慣があり、こういう習慣を続けている家は、家庭も円満、近所ともうまく行っているそうです。
右に、ペリメニの写真がありますが、両端をつなげて丸い形にするのが特徴ですが、なんか家庭円満の象徴という感じがしませんか?
こういう楽しい伝統は、守って欲しい感じがします。
他、ひき肉を使った料理でよく作るのは、冬場のチゲ(特に納豆チゲ)と夏場のゴーヤチャンプルーなどがあります。いずれも実際に使う肉は少量、多くの野菜を一緒に調理するヘルシーメニューです。
納豆チゲは、おろしたニンニクと、ひき肉をごま油で炒め、キムチ、納豆、刻んだ葱をこれに加え、米のとぎ汁、コチジャンを加えます。本物のキムチは、原材料名で、「アミ醗酵物」の表示を確認します。韓国では、チョッカルといい、オキアミの醗酵物で、これが旨みの元になるのです。もし、本物が手に入らない場合には、裏技ですが、タイの調味料、ナンプラーを加えると似た旨みが出ます。
こんな具合に、少量の肉が加わることでやっぱり、食卓はずっと楽しくなる、そして量を食べるというより、質を楽しむ、また肉そのものを食べるというよりも肉が加わることで野菜を美味しく食べるといった発想により、ヘルシーな食べ方をすることが出来ます。
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ボルシチ
ボルシチは、冬に家で食べる料理のなかでご馳走のひとつです。牛スネ肉を圧力鍋で煮る間、「リード」で余計な脂肪はアクとともに余計な脂肪は取り除いてしまいます。あくまでさっぱりと、そしてたくさんの野菜とともに食べるのが我が家流。心も体も温まります。ビーツの赤い色は、赤ワインと同じアントシアニン系ポリフェノールで、体にいいのです。 |
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ビーフカレー
たまには、こんな料理を作って食べることもあります。ただし、市販の固形ルーは使いません。固形ルーというのは、残念ながら、40%は、飽和脂肪とトランス脂肪、30%は、でんぷんと砂糖で出来ています。したがって、カレーは、カレー粉から作るか、自然食品店で売っている顆粒のルゥを使います。 野菜たっぷりでヘルシーに。 |
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ソーキ(豚スペアリブ)
ソーキは、代表的な沖縄料理で、豚のスペアリブを湯がいて余計な脂を取り除き、昆布や少量の黒砂糖、野菜とともに煮込みます。
すばらしい旨みがあり、脂肪を抑え、肉も消化しやすくなり、骨からムコ多糖類やミネラルなども抽出されるヘルシーメニューです。
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豚スペアリブのボルシチ風
豚スペアリブの応用で、ボルシチ風のシチューに仕上げることも出来ます。豚スペアリブは圧力鍋で20分程度煮ると、軟骨まで食べられます。
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煮込みハンバーグ
大量のトマトピューレと赤ワインで煮込むと、デミグラスソースに似たおいしいソースが同時に作れます。
このソースには、肉の旨みと脂肪が分散しているわけですが、これはいっぺんに食べるのではなく、冷蔵しておいて、グラタンや、パスタ料理にも使います。
この方法だと、ハンバーグ自体は、ローカロリーでしかもおいしく食べられます。 |
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手打ち水餃子
みんなが好きな餃子も、皮まで手打ちして、おもてなしに。
上は、ロシア風水餃子ペリメニ。丸い形が特徴です。
下は、普通の中華風水餃子で、中華風鍋や、韓国風にチゲに入れてもおいしく、また楽しいものです。
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ゴーヤチャンプルー
ひき肉を使った、我が家の夏の定番料理です。我が家では、ひき肉、ゴーヤ、豆腐、大豆ソーセージ、卵で作ります。コーレーグス(島唐辛子の泡盛漬け)の風味が決め手に。とてもバランスのよいメニューです。
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