魚を制すものは食卓を制す?
魚が健康によいことは、たいがいの人は分かっていると思います。ローカロリーで、高たんぱく、ビタミン、ミネラルも多く含み、魚によっては、低GI、EPAやDHAといった貴重な必須脂肪酸も摂取することが出来ます。
難しい点は、おろすのが面倒、あるいは苦手、限られた魚以外は、どう食べてよいか分からない、当たりはずれが大きい、鮮度やちょっとした調理の仕方で、美味しくもまずくもなるということが肉料理よりシビアであることなどがあると思います。
それだけに魚料理のバリエーションを増やすことは、多くの家庭にとって食卓をいっそう豊かなものにできる余地のある事ではないかと思います。
魚を生食する料理も刺身、たたき、のほかカルパッチョ風、ヌーベルキュイジーヌ風など、たくさんのバリエーションがありますが、それらは、「酵素が豊富な食事とは?」のコーナーで紹介する事とし、このコーナーでは、ムニエル、香草焼きなど加熱調理する魚料理を中心に紹介します。
基本となるムニエル
ムニエルは、サーモンやカジキマグロ、シタビラメ、スズキなど、多くの家庭の食卓にものぼっていると思います。自分でおろすか、魚屋さんでおろしてもらうかすることで、トライしてほしいおすすめの魚としては、イトヨリ(ダイ)、イサキ、メバルなどもあげておきます。なんといっても、切り身で売っている魚より、新鮮な魚のおろしたては本当においしいものです。また、付けあわせが違うだけで、印象が全く変わります。
念のため、ムニエルのポイントです。
@、魚の切り身に白ワインを振りかけておき、塩、コショウしてなじませます。
A、粉ふるい器を使って小麦粉を丁寧にまんべんなくふりかけ、なじませます。
B、
フライパンに中火でオリーブオイルを熱し、ニンニクをつぶして入れます。
C、魚を皮の側から入れ、皮が縮んで丸まったらすぐにひっくり返します。
D、へらで、丸まったのをのばすようにしながら反対側を焼きます。
E、弱火のオーブンで仕上げます。1分刻みで様子を見てください。
F、フライパンに残ったニンニクは取り除き、付けあわせを炒める。
G、美的に盛り付ける
。コーディネートを楽しみましょう。
付け合せやハーブにより全く違ったものに・・・
応用のきく香草焼き
もうひとつ、基本の調理方法として紹介したいのが、香草焼きです。これはオーブンを使います。
イタリアの庶民の味、いわしのオレガノ香草焼き(サルディーネ アル オレガノ)を例にとって作り方を説明します。
@、いわしをて開きにして、わたを除き、白ワインを振り、軽く、塩、こしょうをします。
A、ニンニク、オレガノのはを微塵にして、パン粉と混ぜ合わせます。
B、@にAを振りかけて、上からオリーブオイルをふりかけ、中火のオーブンで焼くます。
C、レモンのくし切りと一緒に盛り付けます。好みにより、バルサミコ酢を煮詰めてバルサミコソースを作り、これを皿に敷くか、上から降りかけていただきます。
いわしの場合は、オレガノがよく合いますが、魚の種類により、いろいろなハーブを使い分けるとよいでしょう。舌平目のような淡白な魚なら、パセリを使ってもよいですし、私の好みでは、イサキにはローズマリー、秋刀魚には、タイムを使っています。いくつかのハーブをブレンドして使うことも出来ます。日本人になじみの焼き魚感覚ですが、ハーブが生臭さを中和してくれて食べやすく、洋食として食べることができ、子供にも好まれやすいでしょう。ハーブには、防腐作用もあるので、お弁当にも向いています。
ソースで楽しむ魚料理
料理のソースというと難しいと感じてしまうかもしれませんが、要するに風味を浴するためにかけて使えるものは何でもソースなのです。例えば、写真にのクロメバルのシェリーソースです。つくり方はほとんどムニエルと違いがありませんが、油の残ったフライパンにシェリー酒を加えてアルコールを飛ばし、少し煮詰めたものをソースとしてかけ、仕上げには、ディルの微塵を散らしました。シェリーは、とても繊細な風味をもち、魚料理に薄いシルクのヴェールをまとわせるような感じです。淡白な魚にあいます。要するにちょっとした手間をかけるだけで、料理にグレード感や変化を与えることが出来るのです。
カジキマグロのサフランソース風味では、油が残ったフライパンに、白ワインでサフランを煮出したものに、トマトのさいの目切りを加えたものを最後に上からかけました。
イタリア語で、ペッシェ・スパダ・サポリート(美味しいカジキマグロという意味)というのはご馳走です。この料理のオリジナルのつくり方は、
@カジキに塩コショウと、シナモンを振り、小麦粉をふってなじませる。
Aフライパンに、オリーブオイルを熱しタマネギとセロリの微塵を炒める
Bカジキを加えて炒める
C白ワイン、魚と野菜のだし汁(フュメ)、生クリームを加え軽く煮詰める
D仕上げにもう一度、アクセントにシナモンを振る
この料理は、本当においしいんです。ただ、カジキは、柔らかい生カジキを使うに限ります。高いけど、刺身用がやっぱり美味しいです。
様々な応用
付け合せに特別なルールはありません。私も、冷蔵庫を覗き込みながら、その都度、考えるのです。だんだん、それがまた楽しくなるものです。
あと、鯛の中華風は、酒と塩を振りかけて、蒸したあと、ねぎをふりかけ、その上から熱したごま油をジュッとふりかけ、コリアンダーを散らしました。
あと、かつおのたたきとか、刺身の残り物は、韓国風に、ヤンニョムジャンに漬け込んでオーブンで焼くとおいしいです。ヤンニョムジャンは、下ろしたにんにく、コチジャン、ごま油、しょうゆ、刻んだねぎを混ぜるだけ、好みによって、これに白ゴマを混ぜます。
というわけで、魚料理はいくつかの基本さえマスターすれば、あとはいくらでも応用して楽しくバリエーションが作れるのです。いろいろトライしてみてください。
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イサキのムニエル野菜添え
イサキは、初夏から秋にかけてが旬の魚で、鯛に似た感じの肉質で、癖がなく非常に美味です。
軽くオーブンで調理した野菜を彩り豊かに添えてみました。 |
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イトヨリのムニエル
イトヨリは、秋から冬が旬の、スズキに近い種類の魚です。イトヨリダイとも呼ばれるように、淡白で鯛に似た食味で、見た目にも美しく、非常に美味、関西では実際に鯛の代わりにお祝い事に使われています。イタリア、スペイン料理でもよく使われます、
写真は、オーブンで仕上げる際に、ローズマリーをあしらい、ニンニクスライスと、さいの目に切りそろえたカポナータを添えました。
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メバルのシェリー風味
メバルは、カサゴに近い種類の魚で、旬は冬から春、やはり、淡白で美味。特に黒メバルがおいしい。写真では、シェリー酒を煮詰めたソースを敷きディルの葉を刻んで散らしました。
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舌平目のムニエル
舌平目は、日本の家庭でもサーモンと並んで最もよくムニエルにされている魚だと思います。
写真は、カポナータとディルの葉を添えていますが、カレー粉を振ってからムニエルにしてもおいしいですし、香草焼きにしてもおいしいです。 |
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いろいろなアレンジ
カジキマグロもおいしい魚で、イタリア料理にもよく使われますが、単純に、塩、こしょうして野菜と一緒にグリルしたシンプルな食べ方も人気があります。
下は、軽く煮たトマトとサフランのソースをあしらったもの。
他、シナモンと生クリームを使った、ペッシェ・スパダ・サポリートがおいしいものです。 |
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バルサミコソース
バルサミコ酢は、サラダに、魚に振りかけておいしい調味料ですが、少し煮詰めて、酢酸を飛ばし、とろみがでたものは、深い甘みとこくがあり、そのままソースとして使うことが出来ます。
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鯛を中華風で・・
鯛もいつもの塩焼きとちょっと雰囲気を変えてこんな料理に。酒と塩を振って蒸し器にかけた後、葱を散らしたあとで、熱したごま油をジュッと振りかけると、香ばしい香りが立ち込めます。仕上げに、香菜を散らします。
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