文化は醗酵から起こった
そもそも文化(cluture)の語源は、ラテン語のcultus(クルトゥス)に由来し、栽培、培養、世話をするという意味があり、転じて洗練された、とか、教養という意味にも使われました。
文化は、栽培とともに培養、つまり発酵食品を作るということから始まったのです。
例えば、メソポタミア文明では、紀元前3000年には、醗酵によりパンとビールとチーズが作られていたといいます。
そうすることで、冷蔵や冷凍などの保存技術がない時代に 食物を保存し、しかも食品としての価値を一層高めることができたのです。
興味深いことには、いずれの文明でも醗酵と言う現象は神聖視され、神が司るもの、そして醗酵の知恵は、神から授かったものと考えられました。
味噌が世界中から注目された
1986年にチェルノブイリ原発事故がおきて以降、日本の味噌が世界中から注目され、旧ソ連圏やヨーロッパへの輸出が急増したのをご存知ですか?
ことの起こりは、1945年に、広島と長崎に原子爆弾が投下されたときのこと。当時は一般家庭で造ることもできなくなっていましたが、医療施設では 認められていました。そして被爆後、おもに医療従事者たちですが、味噌を食べていた人には放射能障害が殆ど出なかったし、障害が出た人でも味噌を食べ始めると、治癒したというのです。これは単なる逸話ではなく、医師がその模様を詳細に記録していました。
戦後、広島大学などで、動物を使って追試試験が行われましたが、その結果、味噌には放射能からさえ、命を守る効果が証明されたのです。この話が、世界中に知れ渡った結果として、後の味噌ブームに結びついたのです。
酵母醗酵に再び脚光
醗酵は、生きた酵素とともに、様々な醗酵生成物を作り出します。それは、現代科学でもほんの一部しか解明はされていません。それでも、特に酵母による醗酵生成物の中から、様々な医薬品を製造できる可能性が示唆されている研究事例は枚挙に暇がありません。以下のリストは、酵母醗酵に関連して出願されている特許のほんの一例です。
抗糖尿病組成物を産生する
アミノ酸を産生する−特に、解毒作用のあるL−システィン
メチル基供与物質(肝機能向上、うつ、痴呆、関節炎の治療)、
抗酸化物質、コエンザイムQ10やグルタチオンを産生する
メラニン産生抑制物質の産生、シミ、ソバカスの抑制
皮膚老化防止効果、肌荒れ改善効果
アレルギー体質の改善薬
ミネラル吸収促進、、骨そそう症予防
腎機能低下の予防薬
NK細胞活性剤の産生
乳酸菌との共存による生菌数維持
過酸化脂質の生成抑制、消去
↑酵母菌
その中で比較的新しい話題としては、酵母の細胞膜には、アガリクスなどに含まれる抗癌、免疫賦活成分のベータ・グルカンが高濃度で含まれているということがあります。有名な話で、毎日味噌汁を飲む人は、飲まない人に比較して、胃がんの発生率が約半分という統計がありますが、このこととも関係があるかもしれません。
また、人間の体の中で、鉛、カドニウム、水銀などと結合(キレート)し、無毒化するメタロチオネインという物質が注目されていますが、これと同じ成分が酵母に含まれているということから、重金属の無毒化、排泄を促す働きが注目されています。
私たち人間は、醗酵文化により、微生物のおかげで、生命力を与えられてきたといっても良いのではないでしょうか。
コラム・
酵素飲料は、日本人のケフィアか 鈴木清和
スリムアップを目的にした、酵素ダイエットに限らず、酵素飲料を愛用している方々を見ていて不思議に思うことがあります。
特に顕著なのは、精神面での変化です。現代人には、うつ病が激増し、うつ病まで行かなくとも、軽度うつや、前段状態は、もっと広がっています。
そういう状態の人は、脳内でセロトニンが不足している場合が多く、砂糖を多く含んだ食べ物を渇望し、多食する傾向があります。そうすると、それらはGI(グリセミック・インデックス)もカロリーが高く、栄養素が乏しいために、悪循環をひきおこします。
うつ病や、その前段常態にある人の多くは、反応性低血糖、鉄欠乏性貧血、亜鉛や葉酸やビタミンB6の欠乏、鉛や水銀などの有害ミネラルの蓄積なども見られます。
そういう人たちが、酵素飲料を飲み始めて、ジャンクフードへの欲求が減り、まともな食事をとりたくなり、精神的に前向きになり、うつ状態がだんだん改善してゆくのを繰り返し目撃しました。
また、長年不妊症だったのに、酵素ダイエットに取り組んでから、40代で妊娠したケースも多く見られます。
酵素ダイエットに取り組んで、アレルギーや吹き出物が治ったり、お肌のきめが細かく、色白になり、保湿力も高まったり、冷え性や肩こりがなくなったりといったケースは枚挙に暇がありません。
私は、LBAと言う方法を用いて、クライアントさんの血液を観察してきましたが、酵素飲料を飲んで30ほどで血液の映像が劇的に変化するのも繰り返し見てきました。
実際のところ、発酵食品に秘められた力は、現代科学でまだ殆ど解明されていないのです。例えば、味噌を食べていた人は、原爆の放射能による症状を発症しなかったり、発症した人が回復したりしたことが医師によって記録され、戦後、マウスなどを使って追試され、そのような効果が証明されていますが、どの成分がそのような働きをしているのかは不明なままです。乳酸菌抽出物が、発癌物質によって傷ついたDNAの修復を促したケースもしかりです。
世界的には、コーカサス地方のケフィアが有名で、この地方では代々ケフィアを受け継ぎ、病気が少なく、長寿であることが知られています。
かといって、日本人がケフィアをとればいいかということについては、私は否定的です。これは、カスピ海ヨーグルトも同様です。
なぜならば、腸の中にもともと生息していた菌しか定着はしないからです。アシドフィルス菌やフェカリス菌などを大量に取れば、確かに一時的に腸内フローラの改善が見られ、カンジタなどの有害細菌を抑制するのに有効ではありますが、あくまで一時的なものです。
コーカサスの人々は、生まれてすぐにケフィアに含まれる菌が腸内常在菌になっているので、その後も補給し続ける事が有効なのではないかと思うのです。
日本人は、元来、動物性食品も乳製品も殆ど取らないので、先祖代々受け継いだ腸内細菌と言うのは、日本の風土の中で自然に存在し、野菜や果物を自然醗酵させる菌の中に含まれると考えるのが自然でしょう。
ところで、一つ興味深いのは、自然界には、純粋な乳酸菌というのも、純粋な酵母菌というのも存在しないと言う事で、それらは常に共生しているという事実です。
ケフィアというのも、実は、乳酸菌だけでなく酵母菌も含むことが分かっていますし、酵素飲料も天然酵母醗酵という事ですが、実は乳酸菌も含まれている事が分かっています。
そこで、私は、共生醗酵と言う言葉を使うのですが、この共生醗酵ということに何か重要なポイントがあると見ています。
酵素飲料は、日本の大地で育った野菜、果物、薬草の、自然に存在する天然酵母(実は、乳酸菌との混合物)による共生醗酵により作られています。
これはいわば、日本人にとってのケフィアのようなものではないでしょうか? |